西部警察に見る大牟田・荒尾の昭和55年
〜はじめに〜
西部警察は昭和54年(1979年)から昭和59年(1984年)にテレビ朝日系列で放送されたアクションドラマである。
このドラマは、ウィキペディアの西部警察の記事を見ていただければ、どういうものか理解していただけると思う。
一視聴者としての主観をもって西部警察を考察すると・・・殺人、乗っ取り、誘拐、強盗などの社会不安を背景に、1970年代、警察モノのドラマは高視聴率を得ていた。
小生は・・・「刑事くん」「ワイルド7」「太陽にほえろ」は真剣に見ていたが、ひねくれる年頃に放映された「大都会」「西部警察」は毎回欠かさず見る、ということはなかった。
しかし、西部警察の無茶ぶりは鮮明に記憶に残っている。これは西部警察を知る万民の感想だろう。
およそ、物語の展開はパターンが決まっていた。
● 凶悪事件発生
強盗、殺人、偽札、誘拐、爆弾・・・それほど事件のバリエーションは多くない。犯人は最低でも銃を所持し、時にはバズーカ砲、爆弾などの凶悪な武器を使う。決してバットや包丁などの原始的な武器で銀行を襲うようなことはしない。
● カーアクション
日産がスポンサーだったので、出てくる車両はほぼ同社製。さすがに新しい車は粗末にしない。型落ちのグロリア、セドリック、ローレル、スカイラインなどが出てくると「この車は破壊されるな」と容易に予想でき、案の定、転倒、爆破の運命をたどった。
● 銃撃戦、犯人射殺
大門軍団所属の刑事は、一発目は威嚇のために空に向けて発砲・・・ということはせず、いきなり水平撃ち。さらに足を狙う、手を狙うということなど滅多になく、射殺することが目的のごとく発砲する。現実に照らし合わせると、犯人死亡で事件の真相解明ができるのだろうかと思われるが、西部警察ではそういうことには一切お構いなし。ドラマが犯人逮捕で終わろうものなら「今日はつまらなかった」と酷評を浴びていた。発砲が大きなテーマであったため、それができない犯罪(ひったくり、コソドロ、無銭飲食、少年犯罪・・・)はドラマでは取り扱っていない。
● 爆破
建物もしくは車両を爆破。西部警察では、ガソリンを使って爆破のシーンをデフォルメしている。火薬の爆発で吹き飛ばすというよりも、炎の量が多いのが特徴で、東日本大震災のときの市原の石油コンビナートの火災、苫小牧のナフサ貯蔵タンクの火災のときの炎に酷似している。
この基本を守りつつ、友情、恋愛、親子との絆などのテーマを入れ込み、ドラマが作られている。パターンが決まっていても評価されるのは、『水戸黄門』が好きな日本民族にベストマッチしているとも言えるだろう。
さて、その西部警察の「第64話 九州横断大捜査網!!(昭和56年1月4日放送)」「第65話博多港決戦!!(昭和56年1月11日)放送」は、昭和55年秋、大牟田・荒尾でロケされた。これはその頃、大牟田・荒尾にいた人なら誰でも知っていることであり、その事実を特筆するものではない。
ここで取り上げるのは、その映像の価値である。西部警察は、ロケで全国各地を回っている。西部警察から30年、西部警察の映像は貴重な郷土史の資料となりつつある。
そのときは何とも思わなかったが、今見ると、大牟田・荒尾の時間の流れを読み取ることができる。今回のおから研究室では、第64・65話の解説を加えながら(ストーリーのテーマは記述しない)、貴重な映像の一部を紹介する。
このDVD(西部警察PART−T SELECTION11 ポニーキャニオン)は販売、レンタルされているので、是非一回見ていただきたい。
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