学校の宝物

(2)

 


最後の木造2階建て(延命中)

木造校舎

 

大牟田では木造の校舎は希少となっている。戦災に遭っていない地区では、明治時代(それ以前)の木造建築も残っているが、学校建築はサイクルが早く、もう既に数えるくらいしか残っていない。

現存する木造2階建ての校舎は延命中学校の1棟だけである。平成14年頃まで、松原中学校の中校舎、吉野小学校の中校舎、白光中学校の北校舎が残っていたが、これらはみな解体されてしまった。延命中学校の校舎も、現在は教室としてではなく「教育研究所」として使われている。この教育研究所も元・大牟田南高校の校舎に移転するという噂があり、そうなると、いよいよ大牟田から木造2階建て校舎は姿を消すことになるかもしれない。

この校舎は昭和30年代の建設で、40数年が経過している。窓がアルミサッシに替えられている点は残念。教育研究所の先生方は、生徒を差し置いて、市内唯一の木造2階建て校舎で過ごせるのだから、気密性や断熱性が低くても、昔の木製窓(鍵は「ロータリー」か「ACE」の真鋳のねじ込み式)で頑張るべきである。ちなみに、延命中学校の正面の鉄筋コンクリートの校舎は昭和20年代後半の建設で、なんと、この木造2階建てよりも古い代物である。

平屋建てでは延命中学校、米生中学校の元技術室の校舎が残っている。このような平屋建ては、各中学校に似たようなものがあった。また、駛馬南小学校には元給食室の平屋建て、天道小学校にも使われていない平屋建てが校庭の片隅に残っている。校舎に見えない校舎(「ふるさと館」などに使われている)では玉川小学校にある平屋建てがある。

これらはモルタル塗りの外壁で、下見板張りや漆喰塗りの外壁と比べればモダンではあるが、建物の不燃化が叫ばれた時代でありやむを得ない。しかし、最近の大牟田の校舎では擬似木造というまがいモンがまかり通る時代、木造校舎の床を雑巾拭きしていた時代を思い出させてくれる宝物である。


延命中


 米生中


駛馬南小


天道小


玉川小

木造渡り廊下

 

最近の渡り廊下は鉄骨(鋼管)または鉄筋コンクリート製となっているものが多い。ここでの木造の渡り廊下は、柱、小屋組み、腰壁が木造で屋根が瓦葺きとなっているものと定義する。

そのような渡り廊下は、米生中学校と駛馬南小学校に、それぞれ20mほど残っている。特に米生中学校の渡り廊下は程度がよろしい。屋根はセメント瓦で、晩年の社宅のような雰囲気があるが、古ぼけた粘土瓦であればもっとアンティークな感じが出るだろう。それにしても、近年凶暴化している台風が来ればすぐに飛んでしまいそうな造りである。

校舎のようにモルタル壁でなく、ほぼ純木造(法で不可だが、屋根が杉皮葺きなら言うことなし)である分、シブい宝物である。


米生中の木造渡り廊下


同左(内側より)


駛馬南小の木造渡り廊下

 

木造倉庫

 

運動場に向かって建てられている木造倉庫はブロック造に建替えられてきたが、使えるものはそのまま使われているので、今も結構残っている。小学校では、明治、諏訪、萩尾、白川、玉川、中学校では、船津、米生、橘に木造倉庫がある。木造倉庫は、校舎のように不燃化が絶対視されていなかったので、壁はモルタルではなく板張りとなっている。そして、この板張りは改修がしやすいため、屋根の葺き替えとともに施され、概して、よい状態を保っている。

白川小学校の木造倉庫は昭和40年代前半に建てられた、小生が通っていた頃にもあった倉庫であろう。外観はボロボロだが、まだまだ現役で頑張っている。


白川小の倉庫


昭和44年の白川小校庭(既に倉庫がある)


同左(平成18年)

明治小学校の倉庫も、昭和30年代からこの場所にあった。外壁の下見板に縦の押縁が入っているので、オリジナルではなく、最近改修されたと思われる。明治小学校には、昭和40年代も外壁が下見板の校舎があった。小生が通った白川小、銀水小、田隈中の木造校舎はいずれも木造モルタルであった。板張りの外壁のほうが、外観的には木造校舎らしい。明治小学校の校舎と倉庫はさぞかしマッチしていたことであろう。


明治小の倉庫


下見板の外壁だった明治小校舎(昭和44年)

諏訪小学校の倉庫は古さを感じさせる板の戸で大変よろしい。建物は少し傾いているが、(安全であることを前提に)無理に直す必要はない。同様に、船津中学校、萩尾小学校の木造倉庫も古くて素朴である。いずれも昭和30年代の建築で、改修されながら使われている。諏訪小、船津中の倉庫の戸は板であり、オリジナルの雰囲気を保っている。これらの倉庫は学校の歴史の証人としても価値モンである。


諏訪小の倉庫


船津中の倉庫


萩尾小の倉庫

また、橘中学校、米生中学校、橘中学校にも木造の倉庫があるが、これらは昭和50年代以降の建築で、比較的新しいが、素材としては十分なので、これからいい味を出してくると思われる。なお、これらの倉庫は屋根や戸がカラー鉄板となっている点が残念である。瓦に葺き替え、板の戸(ベニヤ不可)に替え、グレードアップを目指していただきたい。

なお、倉庫とは呼べないが、吉野小学校には木造の小屋があり、社宅にあった小屋のように、いい雰囲気を出している。学校の宝物となる素質は十分備えているので付記しておく。


橘中の倉庫


米生中の倉庫


玉川小の倉庫


シブ過ぎる吉野小の小屋

 

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