@ プロローグ

 

オートバイのことを「鉄の馬」と呼ぶ人たちがいる。

もともと「鉄の馬」というのは米国の造語だそうだが、鉄馬は日本国民の緻密さ、勤勉性と結びつき、我が国が誇る工業製品となった。

内燃機関が付いていれば、原付であろうと大型であろうと構わない。こよなく鉄馬を愛している。関係ないが、草刈機やエンジンチェーンソーも好きである。

いつからそのような感情を持っていたかは覚えていない。しかし、鉄馬に乗って登場するヒーローを見て「かっちょええ」と思っていた。

月光仮面、仮面ライダー、ワイルド7、紅三四郎、キカイダーとハカイダー・・・。

「鉄馬に乗ればショッカーなんか敵ではない。」と子ども心に刷り込まれていったのだろう。この点はかまやつひろしやアリスの「モーリス持てばスーパースターも夢じゃない。」でフォークギターに入っていった人と同じであろう。

愛馬は古い250tとナナハン。いずれも1990年型、生産から20年を超えていて、中年の和尚と同じく、ガタが出ていることは隠せない。とりわけ250tは、何度廃車にしようかと思ったことか。しかし、バラバラにしては組み直し、エンジンを積み替え、どうにか走れる状態を保ってきた。走行距離メーターはとっくにひと回りしているが、とりあえず現役を続けている。

鉄馬は気候をもろに感じる。夏の猛暑では、渋滞に捕まると焼けたアスファルトの灼熱地獄。悪天候の中では何事もなく走っていく四輪を横目に痛いくらい雨に叩かれる。極寒の冬はほとんど死体、体温が無くなり硬直する。しかし、鉄馬はそのような代償を払ってもおつりがくるくらい楽しい。否、辛さもまた楽しみなのだろう。それがあるから、新緑の候、紅葉の候の快適さが増幅されるのである。

この最高の季節の中、前号のクレバ「ぶらりめぐり〜柳川時間」の記事を見て柳川まで行ってきた。

有明海沿岸道路を使えば大牟田から20分もかからない。天気もよく、鉄馬の調子もよく、エンジンをブン回しながら「この道は〜いつか来た道〜」と白秋の名作をシーナ&ロケッツのロックバージョン試聴でき(This wayスピーアイコンクリックさいで歌い、すがすがしい移動時間を過ごした。

柳川のまちもいい。鉄馬でぐるぐる回り、風呂につかって、うどんを食べて帰ってきた。

まさしく安・近・短、庶民のレジャーである。すこぶる楽しかった。このような幸せがクレバにはたくさん詰まっている。

望嶽庵和尚は至福の時間を求めて、今日も走り続けるのであった。

【有明地域生活情報誌 クレバ55号(2013.11.20発行)掲載】

 


 

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